ボビー・ダーリンは、'61年のゴールデン・グローブ賞の受賞者の中に、
ウオーレン・ベイティとかジェーン・フォンダと並び、「有望若手男優賞」を
授与したという記録が見られる。また、同年、チャールトン・へストン、
マリリン・モンローが、「世界で最も好かれた俳優」として受賞しているのを見ると、
その時期のアメリカのハリウッドの状況が分かり、彼が、どの位置にいたのか
ということが捉えられる。
ロックの歌い手として、それも大人向けの歌も歌える印象が強く、フランク・シナトラ
の後継者とも言われたこともあるエンターティナーであるが、この人ほど多方面で
活躍し、それなりの業績を残した人はいないのではないか。ピアノを始め、いろいな
楽器を演奏でき、10年ちょっとの活躍期間に、歌い手として、「Mack The Knife」や、
「Beyond The Sea」のミリオンセラーを飛ばし、ベガスでのワンマンショーも成功させ、
映画にも出演したかと思うと監督業まで手がけているというのは恐るべきことである。
その彼の伝記が、ケビン・スペイシー主演で映画化され、そのサントラを聞くとき、
スタンダード化している歌の数々が、アレコレと並べられているのには驚くばかりである。
とにかく、ハリウッドと言う夜空に、輝き出た星が、あっと言う間に光り輝き流れて
消えた感じがしてならない有り余る才能の持ち主だったことが再確認出来るのである。
Beyond the Sea 関連情報
「ファイト・クラブ」は余り好きじゃないんだけど、この作品は悪夢が永続するかのような感覚が気にいっている。
フリッツ・ラングでいう「飾窓の女」よりも「スカーレット・ストリート」の悪夢が続くような。
ラングの「ビッグ・ヒート」にも通じる部分がある「犠牲と心境の変化」。
フィンチャーは「ゾディアック」とか00年代の作品の方が好きだが、彼の最高傑作を1本選ぶならコレになるだろう。
市川崑と宮川一夫の「おとうと」の頃から銀残しという演出は使われてきた。
非常にコントラストの強い画面は、見る者に閉鎖的な息苦しさを与える。
この映画に描かれる下品さ、人間の汚れた部分を徹底的に見せる映像には嫌悪感を覚える者もいるだろう。
だが、人間の心理に向き合わせようとする物語・・・アンドリュー・ケヴィン・ウォーカーの哲学を絡めた見事なシナリオには唸らざる負えない。
それに美しいシーンもある。
莫大な情報が眠る夜の図書館の静寂さや、ミルズと妻の束の間の休息とかさ。
凶悪な犯罪や殺人が耐えない現代社会。
サマセットはそんな世の中に嫌気が差していた。定年を迎え辞めようという時に起きた「七つの大罪」になぞらえた連続殺人。
猟奇殺人を繰り返す謎の男。
奴は何故殺人を繰り返すのか、それが徐々に浮き彫りになっていく。
殺人犯の説教なんてクソ喰らえだ。
夥しい文字、写真といった情報、情報、情報。
大量かつ複雑な情報をコンパクトにまとめてしまうフィンチャーは正に職人だ。
サマセットとミルズは早く平和な家に帰りたがっていたが、殺人を止めるため、「安心して子供を産める世の中」にするために犯人と戦う覚悟を決める。
サマセットは、ミルズの妻とそのお腹の中にいる新しい命に触れる事で「人を信じてみたい」と希望を持ちはじめる。たとえどんな結果が待っていようとも。
膨大な情報の中から集めるヒント、アパートでの追走劇、標的が定められる恐怖と絶望。
最後の戦いの前にフル装備で身を固めていくシーンのワクワク感は何なのだろうか。
それを絶望の淵に叩き落すのだから油断できない。
結末は残酷なようにも思えるが、ミルズの表情に“憤怒”は無く、かといって“哀しみ”にも染まっていなかった。
勝ち負けではない。
「もうこれ以上犠牲者を出さないためにも・・・このクソ野郎は俺がブチ殺す」という冷静な戦士の表情だ。
車の中で贖罪を求めていた筈の彼が、警官として責務を負う覚悟を決めたのだ。例えどんな絶望が待っていようとも。
フィンチャーが“アレ”を見せなかったのも俺は気になる。
実は犯行にはおよんでいなくて、警官に嫉妬する自分と憤怒にかられた刑事を“精神的”に殺そうとしただけだった可能性もあるのではないだろうか。
俺はそういう結末があっても良いと思うんだ。
セブン [Blu-ray] 関連情報
古いんですが、すごく好きでした。
自分が小学高校時代からずっと見たかった映画を発見できて、
興奮しました。
ハリソン・フォード
シガニー・ウィバー
メラニー・グリフィス
が若くて可愛いくて、魅力的★
PCがいかにもコンピューターで笑えました。
Working Girl [VHS] [Import] 関連情報
ベテラン刑事のサマセットは1週間後に退職を控えていた。ある日無理やり食い続けさせられ、胃袋が破裂して死亡した肥満男の死体が発見され、現場には"Gluttony(大食)"の文字が残される、という猟奇的事件が起き、サマセットは捜査に乗り出すことに。そんな彼の相棒に任命されたのは新人のミルズ。冷静沈着なサマセットと血気盛んなミルズは捜査を進めるが、第2の事件が起きる。腹の肉を切り取られた弁護士の死体が発見され、現場には"Greed(強欲)"の文字が残されていた。
サマセットは犯人がキリスト教の戒めの"7つの大罪"を踏まえて殺人を犯していると推理し、残る5つの連続殺人事件を防ごうと捜査を強化するが、犯人は警察の捜査をあざ笑うかのように連続殺人を続ける。・・・
この作品は、本当に怖い! まず淡々と降り続ける雨に不吉なものを暗示させ、じわじわと恐怖心を募らせるあたりは上手いです。
この映画で考えされられたことは、人間はあまりにも罪深いということ。7つの大罪は、だれも私たちの日常生活にありうることだけに、この犯罪は私たちにも起こりうるかもしれない、と思ってしまう。それが「セブン」の怖さだと思います。 Seven [VHS] [Import] 関連情報
美しい宇宙の描写からオープニングが始まる。これほどの美しい宇宙と実体感は、ハッブルのホームページですら体験できない。私も宇宙の様々な惑星やガス体を通りぬける旅をする。この映像による実体感は全編を貫く。朝の空気の匂いを、大気圏の射る太陽光を、地球上に溢れる音を、スーパーマンが命を救うために、その手で支える重量感を共に体験する。
冒頭の航空機の一連の見事な描写はストーリーに影響を与え、対するゆらめくマントを、共にゆらめく心を、デリケートなゆったりした動き、それらすべてのスーパーマンの持つ”柔らかさ”を際立たせる。ゆらゆらと動くケープを、今迄とは違う思いで感じるだろう。そして、この航空機の描写で得た重量感は、終盤の人間の感覚理解を超えた重みと、ある事実の重さへと繋がる。その事実がもたらす危機、すべてを乗り越え本当に”リターン”する鍵は一体なにか。
ひさびさの感動的なリターンズであった。
ストーリーと編集が極限までタイトにされ、スーパーマンの澄んだ心と存在自体の葛藤、そして登場人物の心の動きが手に取るようにわかる。”キティ”の涙する切なさが、いまも心に残る。
当方40歳超。実のところ、クリストファー・リーブの落馬事故、そして悲報を聞いた時、何か終わってしまった気がした。本編を見るまで不安があった。どうしようもないリターンであったら観ない方がいい。と。が、杞憂であった。これならば、彼もスーパーマンが観る人の心に再生した、と喜んでくれるだろう。この意味でも新再生である。たとえ続編が無いとしても。まあ、”キャリアを積んだ記者”役がどう見ても新入社員か2年目にしか見えないが、ヒロインとしてはしっくりするので、よしとした。
弦楽器の音や効果音のために是非とも劇場を選ぶことを勧める。
スーパーマン リターンズ 特別版 [DVD] 関連情報