辻仁成 商品

辻仁成 日付変更線 上 The Date Line

"a-section a-spacing-none reviews celwidget">7人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。4The Date Line投稿者 日付変更線 上 The Date Line 関連情報

辻仁成 サヨナライツカ (幻冬舎文庫)

 会社の同僚がバンコク出張の際にバンコクで買ってきた。それをお借りしてインドネシアで読了したところだ。

 結論的に言うと、第二部が残念だ。第一部の沓子の性格の造形が、二十五年後の沓子のそれと全く異なっている点に違和感を覚える。第一部では破綻していながらも、ある種のリアリティーが有った。リアリティーとは「こういう人もいるかもしれない」という意味ではない。「こういう魔女がいたら魅力的だろうな」という意味で、小説の主人公としてのリアリティーである。
 
 一方第二部の沓子はどうか。

 第一部の「破綻」が無くなり、なんとも尻すぼみな良い人になってしまっている。第一部の彼女の魅力はある種のダークサイドに有ったわけだが、その「毒」が消え去っている点が詰らないのだ。「魔女の話」であったのが「純愛の話」に変わってしまっている。魔女が二十五年を経て善人になる話とは、基本的には面白くないと僕は思う。逆の方が面白い。善人が二十五年掛けて魔女になる話だったら興味が沸く。その場合の主人公は言うまでもなく光子になるわけだが。

 そう、光子はどうなのかということだ。第一部での光子はある種の魔女だったのかもしれない。豊のバンコクでの御乱行も光子の耳に届いていてもおかしくない設定だ。もし光子が知っていて二十五年知らん顔していたという話も展開が色々と想像される。本書の展開がやや平坦なのも光子の造形が薄いからではないかと思う。

 本書は評判になり、映画になったと聞く。本書のレビューを拝読することはなかなか楽しい。賛否両論がとびかうレビューはいつも勉強になるからだ。 サヨナライツカ (幻冬舎文庫) 関連情報

辻仁成 「辻」JINSEI TSUJI LIVE DVD VERSION

辻さんのファンなら必須アイテムですよ!とにかく凄く良かった。ギター一本抱えてステージに立つその姿に、「流石、辻!!!」そして、勇気あるな〜。頼もしい!!!ギターも凄かった!あんなに上手いなんて思わなかったなんて言ったら本人に怒られちゃうな〜。でも何よりも、辻さんの凄いところは、言葉に込められた強いメッセージですね。もう、感動しまくりで最高でした。「う〜っ」と胸に来た曲は最後の「ありがとう」。そうそう、アカシアも忘れちゃいけない〜。名曲です。半移民的な生活をしている私には、数々の曲が大ヒットでした。色々書いてしまいましたが、全部良かった!!!辻さんこんな凄いライブDVDをありがとう。 「辻」JINSEI TSUJI LIVE DVD VERSION 関連情報

辻仁成 千年旅人 [VHS]

辻仁成が作り出すのは儚さの世界だった。東洋的な無常観にある美しさを描く。
海も潮風も建物もピアノの音色も全てに虚無感が漂う。絵に人はいない。孤独の世界が描かれている(能登半島門前町を選んだロケハンが非常にいい)。

ツルギ、トガシ、ユマそれぞれの引き合う孤独の引力が、不思議な交わり方をし、生と死を見つめた1ヶ月。「託された想い」がそれぞれを結びつけ、つき動かす。
そう、この3人を出会わせたのは“ヨウコ”。人は死者を見送るとき、魂がこの世に残ると感じる神秘感を体験するが、残されたものたちは死者の残した情念に支配されうる。それがこの3人を出会わせた。そして、「託す思い」はラストのカットへと受け継がれる。

豊川、大沢、yuma(新人)の演技がいい。ひなびた哀愁が出せている。特に豊川は儚さや孤独という役どころはさすがだ。yumaも演技っぽくないのがいい。自然さにおいてはいい女優だと思う。悲哀や心の闇の作り方に置いて、大沢は豊川との違いを出すのに難しさがあっただろうが、役どころの「軽さ」を丁寧につくっていた。
「千年旅人」という題が見終わった後にじんとくる。 千年旅人 [VHS] 関連情報

辻仁成 海峡の光 (新潮文庫)

 最近の辻さんの作品と比べると文章、文字の使い方などがまだまだ荒削りなものがあるもののその緻密なプロットと訴えかけてくるものは明らかに非凡なものがあります。
 芥川賞受賞作ですが、最近の受賞作に比べてあまりにも差が大きいので驚きました。
 題名は「海峡の光」。しかし、内容は逆の「闇」ばかりが書かれています。しかも、その「闇」にしろ「光」にしろ、あえて説明を与えない周到さこそがこの作品に一種の凄みを与えているのではないでしょうか?
 軽い読み物として読み始めたのですが、その凄みに引きずられて一晩で読んでしまいました(短めの話なのでそんなに時間はかからない)。江国香織さんがほれ込むのも分かる秀作であると思います。 海峡の光 (新潮文庫) 関連情報




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