山中先生の研究に向けた姿勢、これまでの経験、そして、iPS細胞の意義が、山中先生ご自身の言葉で、非常に分かりやすく説明されています。彼の人格、研究への想いが、優しい語り口で、伝わってきます。これからの研究を目指す人だけでなく、科学に興味のある小学生高学年以上の方には、是非とも読んでもらいたい内容です。
ノーベル賞受賞者というと、天才肌で近付き難いイメージが有ります。しかし、山中先生は、研究では勿論厳しい方と思いますが、それ以外では、マラソンに参加し、ジムにも通い、お酒も楽しむ、ある意味、普通の感覚をお持ちの方だと思います。
本書で語られる「人間万事塞翁が馬」「研究には、ビジョンとハードワークが必要」というのは、全ての仕事に通じる内容。臨床医時代に、他の医者が20分でできる手術を2時間もかかってしまい、上司からは「じゃまなか」と言われ続け、悩み続けた末に、基礎医学に転じた経緯は、まさに「人間万事塞翁が馬」そのものと思います。
最も印象的だった言葉は、最後の「臨床医としてはほとんど役に立たなかったけど、医師になったからには、最期は人の役に立って死にたいと思っています。父にもう一度会う前に是非、iPS細胞の医学応用を実現させたいのです。」
素晴らしいお考えで感動しました。
全体構成としては、二部構成で、2/3を占める第一部は、山中先生ご自身の執筆部分。その中の前半は、生い立ちを含めて、本当に分かりやすい内容。後半は、iPS細胞に関わる専門的な内容を、注釈を含めて読み解いてくれている部分。若干、考えながら読んで行く必要が有りますが、この部分を理解する事が、今回の業績を理解する上での真髄とも言えます。また、同時受賞のイギリスのジョン・ガードン博士の業績と、山中先生の研究との関係も説明されており、「どうしてこの博士と受賞なの?」という疑問をお持ちの方には、興味深い内容と思います。
残りの1/3は、インタビューで、第一部で語り尽くされなかった、読者が疑問に思うような内容を補足する形式で、先生の考え方が展開されています。
全ページ数が200ページ弱と少なめで、文字も比較的大きく、分かりやすい文章なので、多くの方が、それほど苦労無く読み切れる著作だと思います。
山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた 関連情報
とても丁寧に、自分のようなまったくの素人にも分かるように書かれています。 もちろん最先端医療に関する高度な内容を対象にしているので難しい部分もあります(と自分は思った)。
それでも一般の人がたまにニュースや新聞で見かける言葉「ES細胞」や「iPS細胞」という言葉にひっかかりを持つための足がかりとして読んでおくといい本だと思います。
筒井康隆さん推薦らしいですが、なるほど小説の素材としても想像力が膨らむ話なのかもしれませんね。
個人的にはこんな若い著者がこれだけ魅力的な文章を書けるということに驚きました。 かなりの読書(SF小説?!)好きの人なんでしょうね。 あと、嘉美(よしみ)さん、男性です。
iPS細胞 世紀の発見が医療を変える (平凡社新書) 関連情報
nature [Japan] January 30, 2014 Vol. 505 No. 7485 (単号)
小保方さんの論文が掲載されている。
素晴らしい内容だと思うが、評価されないのは残念だ。
nature [Japan] January 30, 2014 Vol. 505 No. 7485 (単号) 関連情報
iPS細胞とはなにか―万能細胞研究の現在 (ブルーバックス)
理解できないところを飛ばして読むと、余計に理解できなくなりますので、検索したり、他の本を読んだりして、やっと読み終わりました。
なにしろ、ipsとは何かが理解できなければ、前に進めないわけで、まだ読む必要があります。
知らないことを知り得るというのは、幸せなことだと思ったり致します。
iPS細胞とはなにか―万能細胞研究の現在 (ブルーバックス) 関連情報