なるほどと読みました。こんな記録が残っているとは知りませんでした。たいへん貴重だと思います。もっとおおぜいの人たちに呼んでほしいです。 蠅の帝国: 軍医たちの黙示録 (新潮文庫) 関連情報
15の言葉が選び出されているがその中から。
1 一瞬一生
シベリアに抑留され敗戦二年後郷里に帰りついた香月泰男の言葉である。
アトリエを<私の地球>と呼んだ。
森田療法は、通常(西洋由来)の精神療法と異なり過去を不問とする。同じく症状も取り上げない。
2 見つめる
「考える」ではなく、「見つめる」・「聞きつめる」であり、それは「逃げるな」でもある。身を常に忙しくする。
3 休息は仕事の転換にあり
小人閑居為不全 無所不至
4 外相をひたすら整えていけば内相も自ずから熟す
禅僧の修行のように。
雨が降っている中で、雨が降っていると大騒ぎをしない。
「健康人のふりをしているうちに健康になる」と喝破した。
「手考足思」(河井寛次郎)
5 目的本位
実体のない「感情」に振り回されない。
目の前の小さなやるべき事柄に手を出す。行動・実行は技術が身に付き、「気分」の最良の解毒剤となる。
6 無所住心
知性がその能力を錆つかせているが、「今、此処」に注意を払う。鏡のように。
7 即
脱二分法。煩悩即菩提(煩悩菩提不離)。未病即病気。成り切る。
8 不安常住
座禅、滝に打たれる、火渡り等の行は、回避とも見なせる。行の場があるとすれば、それは日常の生活の中にある。
9 あるがまま
大地、生きとし生けるものがあるがままなのに人だけがそうではないのはどうして?
10 生き尽くす
生きるからこそ死ぬ。生きなければ死にもしない。涅槃。
森田療法では、まず一週間の絶対臥褥があるが、正馬の郷里土佐地方には嫁姑の間にいざこざが起こるとどちらか一方が三、四日臥褥する風習があったそうである。実に端倪すべからざる風習である。
実体のない心に形を与えるため西洋由来の心理学は、様々な用語を創り出した。しかしそれら無意識、抑圧、コンプレックス、自己愛等々全ては、人工的な論理でありネット上の仮想空間と変わりない。実生活では、頭で思考するよりも手足を動かして思考した方が適しているようである。
生きる力 森田正馬の15の提言 (朝日選書) 関連情報
帚木さんの本はほとんど読みましたが,この「閉鎖病棟」は特に大事にしている一冊です。
社会からも家族からも疎まれながら生きている,精神薄弱者と呼ばれる人たちを,筆者が愛情を込めて描いている作品です。精神病患者にもそれぞれ個性があり,精神を病んでしまった理由や背景がある,という周りの人が忘れてしまいがちな部分を無理なく自然に読者に伝えてくれます。患者を取り巻く家族,医療従事者,そして患者同士に起こる日々の生活や些細な事件。ともすれば暗くなりがちな世界も,著者が優しい目で見つめながら描いているので読んでいて救われます。
帚木さんの作品は,色々な意味での「弱者」を描いているものが多いのですが,どれもわざとらしく美化したりせずにありのままの姿や出来事を整った!文体で書かれています。この「閉鎖病棟」も,淡々と語りながらも読者の心を打つ,素晴らしい作品です。
閉鎖病棟 (新潮文庫) 関連情報
精神科医で小説家の著者による、ギャンブル依存症の本。実際の体験記を含む。患者の96%がパチンコ・スロットによる。身近にこういう人が何時いてもおかしくはない。長男がプチ反抗期に「パチプロになるから勉強しない」 と言ったことがある。ならなくて良かった。早朝からパチンコ店の前に並ぶ若い人たちを思い出し、ぞっとした。
「借金と虚言があれば百発百中病的ギャンブリングの診断がつきます」 「腫瘍が説教で治らないのと同じく、<病的ギャンブリング>には説教など、屁の突っ張りにもならないのです」 「この病気は<意思>とは無関係です。(中略)病人にはもう<意思>はないと考えるべきです」 「尻ぬぐいは病気を進行させるという厳然たるカラクリがあります」 など、驚くことが続く。パチンコが放置されている日本は恐ろしい。
やめられない ギャンブル地獄からの生還 関連情報
たまたま、今年、NHKEテレで帚木さんに 檀ふみさんがインタビューをする番組を見て、とても感動しました。それから、帚木さんの代表的な何冊かを読んで
このdvdを購入した次第です。お顏や表情を見てるだけでも、この方は心底優しくて弱い人への思いやりがある・・それは、本に出てくるきめ細やかで魂の入った人物描写を見ていてもよくわかります。インタビューは作家になった経緯とか、作品を作るご苦労、又、重篤な病を体験された時のエピソードなどもアツく話されています。飾らないお人柄が魅力的で引き込まれました。今後とも頑張って時代の持つ「影」の部分をぜひぜひ書いてください。帚木さんのヒューマニティあふれる作風や「時代」や「歴史」に対する批判的な視線から考えると・・個人的には、、2011年の「福島原発事故」以降ふるさとを失った人達の話などは、帚木さんなら、強い力を持って訴えて下さるのではないでしょうか
追記・・・このdvdの収録時間が少し短いのが残念でした。しかし、帚木さんの読者なら、きっと人間的な魅力あふれてる映像に心が癒されると思います
帚木蓬生の世界~自身が語る作品に込める想い~ [DVD] 関連情報