志村ふくみ 商品

志村ふくみ 語りかける花 (ちくま文庫)

色彩は光の受苦である、というゲーテの言葉がすとんと落ちていく志村さんの色への思いに、素直に感動します。
そして私たちもまた染色という営みが、自然や命への不思議さへとつながっていく知の喜びに満たされていきました。 語りかける花 (ちくま文庫) 関連情報

志村ふくみ 色を奏でる (ちくま文庫)

色というのは、なんとさまざまな表情を持ち、それぞれに美しいのかと感銘を受けた。

色の話であるけれども、文章から情景が浮かび上がり、色から匂いが漂い、空気感まで伝わってくるような、五感が刺激される文章と素晴らしい写真だった。

京都や近江の風景にも旅情をかきたてられ、色を探しに自然と戯れたくなる。

色に対する感覚の優れた人の紡ぐ言葉は、実に表情がある。いつまでも浸っていたい幻想的な空気に包まれ、豊かな気持ちになれた良書。 色を奏でる (ちくま文庫) 関連情報

志村ふくみ 白のままでは生きられない―志村ふくみの言葉 (生きる言葉シリーズ)

染織の仕事をしている人の思いが伝わってくる。

白黒の写真が、言葉の背景となっている。
「手のなかに思考が宿るといってもいい。」
手に職のある人の言葉として重みがある。

とても素敵な詩集なので、できれば、文字の形(フォント)を詩に合わせたものにするとよいかも。
あるいは、手書きの書で綴ってあれば、もっと心に届いたかもしれない。

文字形を変えたもの、手書きの書の版を作るのであれば、企画案を作ってみたい。 白のままでは生きられない―志村ふくみの言葉 (生きる言葉シリーズ) 関連情報

志村ふくみ 一色一生 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

グローバリゼーションやIT革命という言葉を聞かない日がなかったほどの世知辛い時代に「一色一生」とはなんとも悠長な話だと思うかもしれません。

 著者は自ら、藍建てをし、糸を藍色に染め上げ、そしてそれを織りあげる工芸作家です。化学染料を使うのではなく、植物染料を利用し、いかに美しい色を出すか。そのことに真剣に取り組み、そのために一生を費やすのも辞さない。その姿勢で染め上げた糸を使い、織物を作るというのです。

 本書に見出されるのは、「藍を手がけることによって、植物が単なる色だけでないことを知り、植物の側のいい分、言葉にならない言葉や形態から何かをさぐろうとし、植物の言葉や様子をわかる耳や目を持ちたい」(19頁)という著者の姿勢です。自然を人間の背丈に合わせるのではなくて、自然へできるだけ歩み寄ろうとする姿勢が、本文中いたるところで感じられます。彼女からすれば、世界や自然をじっくり見据え、自然からの恩恵を「戴く」技こそが「ものづくり」なのでしょう。

 本文中に、工芸の仕事はひたすら「運・根・鈍」につきるのではと心情を吐露する箇所があります。「運」とは自分にはこれしかない、不器用で我が儘な自分はこれしかできないのだと思いこむようなもの。「根」とは、粘り強く一つのことを繰り返し繰り返しやること。そして「鈍」とは、工芸という表現自体が、絵や文章のように、じかの思いをぶちまけるわけにいかない「鈍」な仕事なのだということ。

 世相に煩わされるのでない生き方・態度、時代に翻弄されない一つの姿勢として、志村さんのような姿勢があると感じます。 一色一生 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ) 関連情報

志村ふくみ 「色を奏で、いのちを紡ぐ」〜染織家 志村ふくみ・洋子の世界〜 [DVD]

色って何だろう?
それは光がものに当たって反射し、目を通じて脳で感知された反応です。
つまり「色」というものがあるわけではありません。
多分人間一人ひとりが感知している、あるひとつのものの色は、みんな少しずつ違う。
違う生き物が感知している色は、もっと違う。
「かたち」や「時間」が誰にとっても同じなのに対して、色ってのはそれらと全く違う「感覚」なのです。

「草木染め」というと、すべて灰色を混ぜたような色で、なにか年寄りめいていて、枯れて、生命力の弱いもののような印象がありますが、要は草木の血液の色を糸に移したものなんだな、とこの映画を見て思いました。静かにだけど、植物も生きています。糸にその色を移すために植物を殺す場面から、この映画は始まります。

志村ふくみという86歳の現役染織工芸家と、その娘で同じく染織家の志村洋子のことを描いたドキュメンタリーであり、おそらく学習目的で使われる映画なのですが、絵画や染織、あるいは光や色に関心のある人にとっては、とても新しい刺激のある作品ではないかと思います。

ふくみさんは、色はいろであり、人間の中のいろを自分の肉体で表出するか、それとも糸に染めるか、という問題でしかなく、中にいろがなければ染めなどできない、というようなことを言っています。86歳にしてなんと艶やかな。

女性の色は赤だけど、赤という色はどこにもない。若い娘の薄桃色は花の花びらを煮出して作る。燃えるような朱色は高野山の槇の木の皮から出たけれど、山を下りてしまうと同じ木からもう茶色しか出ない。藍の色は新月に仕込むと満月の頃にいい色になる。…化学式で書けない、天然の生物のいとなみの多様さが面白いです。

インタビュー、昔からの写真、工房での作業、作品といった映像の合間に入る山や川や木々の映像がすばらしく美しいです。手元に置いておいて、謙虚な気持ちになりたいときに見たいと思います。 「色を奏で、いのちを紡ぐ」〜染織家 志村ふくみ・洋子の世界〜 [DVD] 関連情報





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