饗宴 (新潮文庫 (フ-8-2))
新潮・森訳の感想だが、日本語が平易でこなれていて、特に登場人物達の会話の間が非常に読みやすかったと思う。一方で、岩波版のレビューで挙げられていた岩波版冒頭の誤訳疑惑(=最初の頁の「坂を上っていく」云々)の箇所は、新潮版も岩波版と似たような訳になっている(笑)。といったような、細部を専門的に評価する必要のない素人読者としては、以下の点が面白かった。
-1.
「愛について」という邦訳副題にあるように、本書はソークラテースの他、彼の愛人アガトーン(悲劇詩人)、ソークラテースの批判者であるアリストパネース(喜劇詩人)、など6人の論者が「愛とは何か」を議論した酒飲み話として書かれている。ここでソークラテースは他の5人と違って、愛を無条件に至上のものとは受け入れなかった。人は欠乏・不完全さを抱えるが故に、「愛とは、善きものが、永久にわが身のものになることを、目的としている」(89p)、「愛の対象とは不死でもある」(91p)と整理しているのだが、具体的な行動としては、一人の少年や人間、あるいは一つの営みに執着せず、無限の美と知識愛を観照することを賞賛する(99p)。そういう意味では、彼にとっての「愛」とは永遠を志向する以上は未完で終わらざるを得ないプロジェクトなのであり、それ故に愛の対象を至上の善とするなら、知を愛し求める人は「知者と無知者の中間」(84p)に留まらざるを得ない。このようなある種諦観的なビジョンはそのまんま近代哲学の認識論の本流にまで繋がっていくものだが、これが実際の恋愛行動に落ちると、彼の場合は本書でも何箇所かで触れられているが、情熱的に美少年達を追い回すということになる(笑)。確かに理屈の上では一貫性があるものの、言ってることの高尚さとのギャップが笑えた。
-2.
本書最後の登場人物はアルキビアーデスという人だが、この人は権力を追われた軍人政治家であり、彼が弟子だったことがソークラテースの死刑の遠因になったとされている。プラトーンは本書の中で、二人の関係がアルキビアーデスの横恋慕であるとしており、師の死が不当だったことを告発しているが、同時にこの片思いが、この会話劇の中で酩酊状態の彼が語る師への愛(=不完全な弟子が完全な師に恋焦がれる愛)とソークラテースの語る永遠への未完の愛とのギャップ、彼らの間の座る位置をめぐるやりとりに重ねられている。この何重にも意図が重ねられた最後のオチの構成力は、さすがプラトンである。他の論者達の語る愛の語り口も、詩人やソフィストの話振りがパロディ的に真似られており、本書を哲学書であると同時に文学書として楽しめたという感想が多いのも頷ける。
-3.
本書解説を見れば分かるように、古い作品だけあって解釈が如何ようにもできる不透明な箇所が少なくない。西洋哲学がテキスト論や文献学・解釈的方法論を延々と問題にしてきた理由の一つに、源流である古代ギリシャ哲学を読むことが既にそういうテクスト論を強いてくる点にあるのかもしれない。
ソークラテース自身は重層歩兵として従軍経験もある人だが、かなりマッチョでエネルギッシュな生を楽しんだらしいことが本書のエピソードからは感じられる。が、一方で生きた話し言葉を書きおとすことを拒んだために、後世の我々は彼が実際に何を考えていたのかは弟子達等の文献から間接的にしか分からない。でも、これも「永遠」の前で「未完」にあることをポジティブに受け止めた彼らしいエピソードだと思う。
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ドクター・モローの島 [DVD]
HGウェルズの1896年の小説の映画化1977。
マッド・サイエンティストのドクターモローに
遺伝子を変形させられ、動物に退化してゆく
主人公は うすれゆく意識の中で
なんと
過去の、少年時代の思い出を語り始める。
それが、人間であることを証明する唯一の手段なのだ。
、、、、、、
この映画を見てると、
ドクターモローが神のメタファーであり、
主人公が、、、教師や警察官のメタファーの
ような気がしてくる。
ルールがなくなった社会がどうなるかとか、
人間と動物のちがいが何かとか、
高すぎる倫理を持つ者は不幸になるしかないのかとか、
まあ色々 考えさせられる。
ドクターモロー、主人公、登場人物みんなが
よかれと思って行動することが悪循環になっていく
ところも面白い。
HGウェルズみたいなのを 本物の 小説家っていうんやろな。
、、、、、、
遺伝子を変形させるのに注射器一本で済ます、
特殊メイクが雑で下手なゾンビ映画にしか見えない、
衝撃のラストシーンがハッピーエンドバージョンに
なってる、
などの短所はこの際 目をつむろう。
非常に良くできた映画である。
バートランカスターの演技が見事だ。
、、、、、、
PS アメリカのヒップホップグループにhouse of pain というのがいるが、
名前の由来はドクターモローの実験室の名前であった。
なかなか批評性のあるグループである。
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天気姉
前作『にわか姉』は幼馴染の姉(実際には姉代わりの年上の女性)とのHでしたが、今回は前作と異なり、完全近親相姦モノです。
主人公が受け身なのは引き続き変わらないですが、実の姉2人(処女)に筆おろしされます。
2人の姉に振り回されつつも、近親相姦の禁忌と快楽の狭間に揺れる主人公の心情は理解できる作品です。
さっぽろももこさんのイラストは相変わらず良いです。他の方も仰られていますが、前作と比べると塗りがボンヤリ?している感じがして、せっかくきれいなイラストなのにもったいないと感じてしまいます。
とはいえ、姉とのラブラブエッチが楽しみたい方。近親相姦は好きだけどムリヤリはチョット・・・。という方にはオススメの1本です。
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竹山エンディングノート~ザキヤマ&河本のイジリ天国~ ページ1[喪主を決めようの巻] [DVD]
前作品の竹山のやりたい100の事と同様、いじりと3人のやりとりが良い!!
笑いたい人、しつこいくらいのいじりが好きな人にはお勧めです。
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お天気お姉さん 1 (ヤングマガジンコミックス)
私が、お天気お姉さん=仲代佳子に初めて邂逅ったのは小学五年生の時でした。仲代佳子の威風堂々とした色気と、破天荒な振る舞い、才色兼備ぶりは当時の私に鮮烈な印象を与え、私は完全に魅了されてしまいました。お天気お姉さん・仲代佳子との邂逅から十年以上も時が経過しましたが、今もなお私の中では仲代佳子を超えるスーパーヒロインは現れていません。いつの日か、進化した仲代佳子に再び会えるのを心待ちにしています。
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