ギニアの村落を舞台にした赤ん坊のキリク(神木隆之介)と魔女カラバ(浅野温子)の知恵比べが、すれた都会人の心をホノボノとさせてくれるアニメーションだ。藤城清治の切り絵を思わせる平面的な絵は、素朴な村人の生活風景描写と実にマッチしている。
TVゲームのメッカ日本においては、CGでなければアニメにあらず的な風潮が見られるが、そんなお金をかけなくても内容で十分に勝負できることを、この作品は文明に毒された我々に教えてくれるのだ。
お腹の中にいる時から母親に話かけることができたキリクには特殊な能力がある。魔女カラバがしかける村人への嫌がらせ魔法を察知し、ちょこまかとした素早い動きで被害を食い止めるのだ。やがて、「魔女は何故いじわるをするのか」という根本的な疑問にたどり着いたキリクは、お山に住む賢人に会いに行くのだが…。
フランス人監督ミッシェル・オスロが、幼少期の実体験を元に書き上げた原作を自ら脚本化したという。キリクがお手柄をたてる度に村人が歓び踊り回る様子は、実際にそこで生活した者にしかわからないオリジナリティを感じることができる。この映画の日本語制作を担当したジブリのみなさんも、ハリーポッターもどきの外国物ファンタジーにばかりかぶれていないで、日本独特のオリジナル・アニメーションを是非子供たちにみせてほしい。
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フランス発のアニメを、スタジオジブリが国内向けにプロデュースすると言う事で、勝手に子供向けの本だと思っていたのですが(そのために小6の娘用に購入したのですが)、読んでみて驚きました。確かに童話のような読み口ですが、内容はとても哲学的な要素が多く、考えさせられます。
著者がフランス人というのも影響しているのでしょうが、大人の方にこそ、是非じっくりと読んで頂きたいと思います <原作本> キリクと魔女 関連情報
ストーリーは王道ファンタジーといった感じ。
主人公と幼い頃兄弟のように過ごした親友の友情の物語。
なんといっても感嘆せざるを得ないのはあの映像美です。
主に登場人物の全体像が映され、背景を強調し素晴らしい世界観が最大限に引き出されています。
登場人物達のキャラがきちんとたっていて、個性もよく表れて愛着が湧きます。主人公に好感が持てます。
動きも繊細で何度も「おぉ!」と感じます。
この作品に魅力を感じられない人は、ストーリーが全て、それが映画の点数。と感じる人なのだと思います。
もちろんストーリーも割と良いです。変にひねって悲しいストーリーになったりしないし
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一曲だけとは少しがっかりしたけど、この一曲がとてもいいので許すかな キリクと魔女 関連情報
キリクは大人も楽しめる、また、考えさせられる素敵なお話です。
子供の物語で魔女が出てくる、というとほとんどが勧善懲悪ですが、このお話はそうではなく、「悪はなぜ起こるのか」ということがテーマの一つになっています。最後は驚く展開で、深く考えさせられました。小さなキリクが、母や大切な人に暖かく包まれる体験をしつつ、いろんなことに果敢に挑戦していく姿も成長がすばらしく描かれていると思います。
子供たちも、キリクに自分を投影しながら、楽しんでくれることと思います。
そうそう、デザインも洗練されていて、とても美しい。映画と合わせ、ぜひお薦めしたいです。
<絵本> キリクと魔女 関連情報