幸田真音 商品

幸田真音 天佑なり (上) 高橋是清・百年前の日本国債 (角川文庫)

上巻は、主に若いときの苦労話です。是清は、基本的に物事に誠実ですが、謹厳実直とは程遠い豪放な性格が若いときからみられて、面白かったです。奴隷として売られた有名な逸話は、想像していたよりひどい待遇ではなく、むしろ「売られた」という「人間としての尊厳」の問題としてとらえるべきものと改めて認識しました。ただ、いろいろな体験をした年齢が、今の基準からするとあまりに若く(幼く)、ちょっとびっくりします(これは下巻も同じです)。上下合わせて大部なのですが、なぜか端折っている印象がぬぐえません。おそらく、大量の資料をもとに幸田さんは苦労されてお書きになられたものと思いますが、もう少し取り上げる逸話を取捨選択する手もあったかもしれません。 天佑なり (上) 高橋是清・百年前の日本国債 (角川文庫) 関連情報

幸田真音 スケープゴート

外資系証券会社に勤めた後、大学教授に転じた女性主人公が次期総理候補の山城に見出され政界に進出し、
次々と重要ポストを担っていくストーリー。序盤はリアリティがあって面白く読みましたが、
後半辺りからそんなとんとん拍子にはいかないだろうと突っ込みたくなるようなサクセスストーリー。
最初敵対していた女性新聞記者と腹を割って話したら、仲間意識が生まれ頼れる協力者になるというシーンがありましたが
そんなに簡単にはいかんだろう、と突っ込みたくなります。

一方、選挙活動の様子や大臣の日々の業務については詳しく書かれており、それらは興味深く読めました。
また、政界における古参男性議員の女性に対する嫉妬心は、いささかステレオタイプに基づいて描かれている感はありますが、
小渕経産相の辞任騒ぎなんかを見ていると、一面では真実をとらえているのかなと思いました。 スケープゴート 関連情報

幸田真音 日本国債(下) (講談社文庫)

上巻での緊張感は、下巻において異質なものに変化し始める。上巻では、この小説を多くの債券市場参加者が読んだ場合の自己実現的ループが気になっていたのですが、下巻では富国銀行のポジション・クローズの違和感や、市場に対する正義感移入が現実との乖離を感じざずにはいられなかった。「私利私欲そのものが市場」であって「私利私欲を捨象したところには市場は成り立ち得ない」にも関わらず、筆者はそこを過度に美化しようとしているのではないか?その点で、実際の債券市場参加者としては緊張感の糸が切れてしまったといった印象を持つ。下巻のストーリー展開に関しては再考の余地が残るのではないか?その意味では、読者なりに後半のシナリオを考えてみるという楽しみが残されていると言えるかもしれない。 日本国債(下) (講談社文庫) 関連情報

幸田真音 天佑なり 上 高橋是清・百年前の日本国債<天佑なり> (角川文庫)

冒頭から、「運がいい」という
エピソードが展開される。

だが、
なかなかどうして、流されるままに、
人生に翻弄されているけれども、
身につけられるものは、しっかりと身につけて、
成長していくのがたくましくて、いい。

前半はいわば「立志編」。
後半も期待! 天佑なり 上 高橋是清・百年前の日本国債<天佑なり> (角川文庫) 関連情報

幸田真音 日本国債 オリジナル版〈上〉 (小学館文庫)

市場操作という倫理性に欠ける部分を肯定しているところもありますが、国債の仕組み(それぞれの立場でのここは「買い」か「売り」か)など勉強になりました。
さらに文庫本発行時には、単行本の発行の時期と状況がかなり異なっていたため、大幅に書き換えたと「あとがき」でいいます。それが読んでいて、違和感なくのめり込める理由だと思います。
エピローグの最後のページではうっすらと、「うんうん」と涙すら出た次第です。
日本国債は薄氷の上にずんずんと積り続けている実態、そしてそれを是正するための一つの方法を示してくれています。 日本国債 オリジナル版〈上〉 (小学館文庫) 関連情報





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