伝説のフォークライブシリーズ VOL.1<ディレクターズカット版> [DVD]
京都でも老舗のライブハウス「磔磔」にて、70年代に活躍した関西系のフォークの有名人たちが同窓会に様な雰囲気での90年代のライブ。ギターを中川イサト・ピアノを竹田裕美子・スチールギターを村上律・ベイスギターを大庭珍太など、すばらしいミュージシャンをバックにして高田渡・いとうたかお・シバ・ほか、順に演奏をする。とても温かなサウンドと雰囲気をかもし出しているライブである。ミシシッピ・ジョン・ハート風の雰囲気でギターを奏でる高田渡さんのぼそぼそ話が懐かしい。今はもう聴くことができない。いとうたかおさんの「行きたいところがあるんだ」「位置をかえすわってみても」は、個人的に大好きで聴き応えがあります。
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五七五七七の31文字の世界で表現する方法に
限界を感じた寺山修司が、
その後演劇や映画の世界に創作の場を移し、
最後の歌集『田園に死す』を映画化したことは、
当然の成り行きであった。
この作品は、「これは私の記録である」と
寺山自身が語っているように、
少年時代の原体験を謳った短歌であるが、その世界は、
彼自身の内なる精神の暗部が作り出した虚構の産物である。
個の記憶がもたらす抑圧から解放されない限り
自由にはなれないと言う寺山は、
自分自身や風景(寺山、鈴木達夫、粟津潔によって
装飾された恐山の風景は、まるで展覧会を観ているようだ)
を作りかえることで、行き詰っている現状を打破しようと試みる。
しかし、自分が作り出した虚構の世界でさえ、
母親を殺せない私とは、いったい何物であるのか
答えを見つけ出すことができない寺山は、ラストで
現実の新宿の風景に映画の登場人物を解き放ち、
現実を虚構に染め上げてしまうしか方法を知らないのである。
初公開時に観た時に、このラストシーンで涙した私は、
34年後の今日再見して、やはり涙してしまった。
34年前の私は、今日の私ではない。
精神の暗部に潜む変えようのない自我が涙させたのである。
『母さん、生き返ってもう一度私を妊娠して下さい。
私は、もうやり直しが効かないのです。』
寺山修司の私映画は、私の私映画でもあった。
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あの伝説的ロック・バンド『頭脳警察』。ロックが若者の反抗、社会批判を、過激で暴力的な表現で代弁していた昭和40年代半ば、PANTAとトシにより結成された彼らは、赤軍三部作といわれる「世界革命戦争宣言」「赤軍兵士の歌」「銃を取れ」の、赤軍派に触発された曲を演奏し、他の曲もラジカルな批評性の元に、日本語歌詞により独自の世界を作り上げ、ロックの中でも突出したバンドとして、圧倒的に支持されていた。彼らの演奏は世界に先駆けたパンク・ロックだったのだ。昭和40年代の終焉と共に解散したが、節目節目に再結成と解散(自爆)を繰り返している。
その『頭脳警察』のドキュメンタリー映画である。3部構成で、合計5時間15分もの大作だ。2006年から2008年まで、PANTAのバンド活動から頭脳警察の再始動に至るまで、彼らに密着して撮影されたものだ。先回りして言ってしまおう。この映画は頭脳警察が存在する時代のドキュメンタリーであり、再始動・頭脳警察のプロモーション・ビデオであり、頭脳警察・再始動のメイキング・ビデオである。そしてその背景には「戦争」という各々の時代の刻印が、はっきりと浮き彫りにされているのだ。
1部は結成から解散までの軌跡を、映像やインタビューを交えて纏めている。
2部は従軍看護婦として南方に派遣されていたPANTAの母親の軌跡。そして重信房子を介してのパレスチナ問題への関わりが中心となっている。優に二本分のドキュメンタリー映画が作れてしまう内容だ。
3部は各々のソロ活動から頭脳警察再始動に向かってゆくPANTAとトシ、そして白熱の京大西部講堂での再始動ライブへ。
ベトナム戦争から、赤軍派の世界革命戦争へのシンパシー。大東亜戦争当時、病院船氷川丸での母親の軌跡を、船舶運航記録によって、戦前戦後を通底する時間軸に己が存在する事を、PANTAが確認する辺りは圧巻である。そして中東戦争とパレスチナ。現在のイランなどに対する「対テロ戦争」という名の帝国主義戦争。なんとオイラと同じPANTAの世代は「戦争」の世代ではないか。
頭脳警察はその政治性によって語られる事が多い。しかし、本来はその存在や演奏自身がより政治的な意味合いを持っていたのだ。その事を自覚することにより、PANTAは「止まっているということと、変わらないということは、違うんだよ」と言うのだ。重信を通してパレスチナ問題に関わることを、落とし前を付ける、と言うのも、かつて赤軍三部作を歌い、赤軍派にシンパシーを感じた自分自身に対することなのだろうと思うのだ。
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日本が誇り、津軽が誇るフォーク・シンガー、三上寛さんの自伝。その青春時代から、近況にいたるまでの足跡を本人の言葉で語りつくしてくれている。
自分は三上寛さんのライブを何度か見たが、その歌を聴くたびに涙が出てきてたまらなくなる。あったかい、熱い涙が、ライブの何曲目かで必ず大量に流れ出してしまう。他のミュージシャンのライブを見てもそんなことは全くないのに。後から考えると、なぜ自分が泣いたのかもわからなかったのだが、この本を読むとなんとなく想像出来る気がする。
それは、歌に、音にこめている重さや熱さや冷たさと言った質の濃密さ、、他の人から受け取って聞いている人に手渡していく多くの念をこめた歌や音だったからではないかな、と思った。こう書いていてももどかしいが、言葉とはぴったりと重ならないもの、音とも密着しきれないものが三上さんの歌には詰まっていて、自分にとっては空位のままの父親であるかのように、津軽ではもうめったに会えない「はんつけにされても心優しくまっすぐで強いもつけ」のように、またはこの世では会えないはずの弥勒のように、ありえないほどの美しい世界を作り出してくれる。有り難い歌の世界。歴史上の人物のようだ。こんな人が今も生きているのが信じられないほどだ。
と言ってみても、三上寛さんの歌には程遠いし、この著書について何を書こうとここにこめられている言霊に釣り合う言葉を書ける自信がない。ライブの打ち上げでも、一言も声をかけられなかった。そばにいても、尊敬と緊張で気分が悪くなったほどだ。芸術に興味があるなら、三上寛さんの歌を聞いて、この本を読むべきだ。ライブ映像も動画投稿サイトにはいくつかアップされているし。好みが違ったとしても、日本で、日本語でこんな深みのある表現が出来ることを知ることは損がないと思う。この著書も、三上さんの肉声が生々しく聞こえるかのような濃密な一冊。
三上寛怨歌(フォーク)に生きる 関連情報
イメージとしては、ヘビーなイメージを抱いてました。が、
ムード歌謡のような曲調でなので、正直拍子抜けです。
SIONの様に、聞き込むと味が出てくるかもしれませんね。
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